夜のてんてき

よるに書く日記

念願のピンク映画館に行った話〜上野オークラ〜

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どうしても行きたかったあの場所

その存在を知ったのはいつのことか忘れてしまったが、今現代にピンク映画館なるものがあると耳にしてから私はすっかりピンク映画館のことで頭がいっぱいだった。

そしてついに今年、念願かなってピンク映画館に足を運べる機会を得たのだ。

いくら思いやりのあるヤリマンである私であってもさすがに1人でそんな場所にいくのは危険な気がして、いつもの一人旅のごとくふらふら足を運ぶことはできずにいた、しかし、2年程仲良くして頂いているお兄さん(かたくなにセフレとは呼ばない)にだだをこね続けついに一緒に禁断のピンク映画館に行ってもらえることになった。

 

場所は調べると一番ヒットする上野オークラに決定。上野オークラに行ってきました系ブログもしっかりと読み込み、予習はバッチリだった。とにかく2階にだけはいっちゃだめなんだな!

 

いざ上野オークラ

意気揚々と上野駅で待ち合わせ上野オークラへ!当日はたしか土曜日か金曜日で、辺りはすっかり夜になっている時間帯だった。道はお兄様に任せていたためまったく覚えていないがとにかく上野公園の入り口?を右手に、アメ横を左手に見ながら大通りを突っ切ると上野オークラが見えてくる。

まさかこんな大通り添いにデカデカと看板があるなんて、と驚くほど目立つサイズの看板がたっている。

どうやら最近移転したようでそんなような案内板があった。案内板の指示にしたがって大通りから一本奥に入る道に進むと左手にそれらしきビルが。電気がこうこうとついていて明るいガラス張り、しかし暗闇にまぎれてエッチな女優さんたちの看板がたくさん張り出されていた。なんと私の大好きな一押しAV女優涼川絢音ちゃんと会えるイベントがやっていたらしい・・・・そもそもイベントなんてやっている程活気づいている場所だとは思っていなかったのでそこでも驚いた。もっと淡々と映画だけを流している場所かと・・・

 

さてさて中に入ると更なる驚きが待っていた

 

まず、まるで市役所のような簡素な外観の扉を開けると目に入ってくるのは券売機だ。映画のチケットはすべて券売機で買う仕組み。2階席用のチケットはボタンが別れていたような気もするけど忘れた。値段は普通の映画館と同じぐらいで1000〜2000円だったと思う。

そして券売機から振り返ると目に飛び込んでくるのは待合室の椅子でくつろぐお客さんたちの姿だ。基本的にはおじさん、あるいはおじいちゃん以上の年配の男性がほとんど。ピンク映画館という場所がそう見せているのかもしれないがどことなく異様に見えなくも無い・・・そして中には女装した男性の姿も2人程見受けられた・・・同年代の男の子の女装なんかには見慣れているはずだったけど、赤の他人の成人男性が同じ閉ざされた空間で女装をしている姿をみるとなんだか胸がザワザワするもんだ。

そもそも上野オークラに入った瞬間から外界とはあきらかに違う空気に包まれた感覚になった。それは私がたんにビビっていただけかもしれないし、あまり見かけない私達カップル客に向けてジッと視線が集まっていたからかもしれない。

 

いよいよ劇場内へ

待合室の異様な空気を背中に感じながらスススス・・・と奥に進んで劇場の大きな扉を開ける。大きなスクリーンではSFもののAVが上映されていた。

お客さんの数はけっこう多いが、座席は1/3ぐらいしか埋まっておらず、その他数十名のお客さん(おじさま方)はスクリーンから見て後方の壁、つまり劇場出入り口の扉がある壁沿いにずらっと並び、立ち見で映画を見ている。異様な光景だ。なぜこの人たちは席に座らないんだろう。

扉を開けた瞬間から立ち見のお客さん、座席に座っているお客さんからも視線が飛んで来て私はもう前が見れない程萎縮していた。完全にビビりまくっている状態だ。

 

座席に座ってのんびり映画を見ようと楽しみに思っていたのにそういう場所ではないらしい。お兄さんに促されて、空いていた角の方に移動して映画を見始めた。

 

しかし、お客さんの雰囲気は異様で、座席から立ったり座ったり、うろうろしたり、立ち見の人も常にうろうろうろうろ劇場内を歩きまわっている。

どうやらしばらく映画を見ていると、この劇場内の落ち着きの無さの原因が私であることに気づく。なぜなら、皆が私のことをじろじろと眺めてくるからだ・・・!!!

うろうろと立ち上がったおじさま方がつぎつぎと私の前を通り過ぎていく、そして通り過ぎざまにじろりと私の方を眺めるのだ。中にはぐっと顔を近づけて足先から舐めるように私を見ていく方もいた。どうやら本物の女かどうか確かめに来ているらしい(?)

女装している方は多いようだが、本物の女がくるのはそうとう珍しいことのようだ。

私がビビリきっている時、劇場の落ち着きの無さに気づき「どうしたの?」と言いながらさっそうと登場した女装のお姉様が女神に見えた。それぐらい男の人に囲まれすぎているあの状態は恐怖を感じた。

 

一方そのころ隣に居るお兄様はというと、しらないおじさんにめっちゃ絡まれていた。「なにしにきたんですか〜」に始まり「彼女さん(もちろん私のこと)は露出癖とかないんですか?」「けっこう露出していく方もおおいんですよ」などなどかなり過激なことも口にしていた。とにかくずっとお兄さんの隣に居座りひたすらなにかを話し続けている。もしかしたら私と露出プレイをするようにうまく誘導したかったのかもしれない。池袋のピンク映画館にはそういう目的の変態カップルがおおいとかなんとか話していた。実際ピンク映画館にはハプニングバーもどきのイベントを求めて足しげく通っているお客さんも多いみたいだ。

あまりにもしつこく話しかけているので私の方から「話しかけないでください!」と言いたいところだったが、そんなことを言って急にキレられたら怖いし、ただでさえ目立っているのにこれ以上目立ちたく無いという気持ちが強くとにかく声を発することができなかった。

 

劇場内は終始そんなカオス状態だった。私の前を何人ものおじさんがぐるぐると行き来し、眺めてくる、そして隣ではお兄さんが知らないおじさんにずっと話しかけられている。映画なんてゆっくり見ることはとても出来ないし、そもそも行き交うおじさんと目があってしまうのが怖くて顔も上げられない状態だった。

その状態で30分ぐらいはじっとしていただろうか、お兄さんに「もう行こうか」と言われてやっとの思いで外に出た。なにせ「もう帰ろう!」と言いたいところだったが萎縮してぴくりとも体が動かないし声も出せなかったんだから。

 

上野オークラを出ると「気が済みましたか?」とお兄さんに呆れ顔で言われたきがする。いつものホテルをもとめて新宿に向かいながら、もうピンク映画はとうぶん行かなくていいね。と2人でためいきをついた。初めてのピンク映画はそうぞうよりもカオスで厳しいものだった。とても楽しめたとは言えないけど、もしももしもまた機会があるのなら是非行きたいと思ってる。

 いつかはピンク映画館にでもハプニングバーにでもどうどうと遊びにいって楽しんで帰って来れるような女になりたいもんだなあ。